6日目に引き続き14日目を担当します吉澤です。
裏adventは11/30に見ても登録者が5人とかだったので「自分が2つ書いて埋めるかー」と思っていたのですが、いつの間にか全部埋まっていましたね。ありがとうございます。
執筆が遅くなり申し訳ありません。
今年は会社から2週間の休暇をもらって、スウェーデンのO-ringen(世界最大のオリエンテーリングイベント)に行っていました。ただ、これについてはあざおOLCブログに書いたので今回は書きません。
今回はオリエン歴10年以上にしてスプリントにハマって少しだけ戦えるようになった話と面白そうな市街地を探す方法を書こうと思います。年末に主催の横須賀スプリントも控えているので。
オリエン歴10年でスプリントにハマった話
<スプリントへの愛なんて持っていなかった>
簡単に自分の経歴を書くと高校の経験者→KOLCでオリエンテーリングをしていました。正式には中学3年の途中からやっていました。高校3年の同じクラスから3人慶應のオリエン部に入ったのが懐かしいです。
大学ではロングこそ体力・走力でそこそこ走れましたが、ミドルは弱く、スプリントに至っては特に熱心にやった記憶はありません。
大学の時のスプリントセレの結果は
1年:開催なし(まだインカレスプリントは試行大会)
2年:惜しくもないタイム
3年:DISQ
4年:DISQ
です。ちなみに3・4年は全部回っていても通っていないタイムでした。
インカレ本戦も併設のスプリントで目立った成績はなく、4年の秋インカレに至ってはエントリーさえすることなくインカレ期間と被る形で留学していました。余談ですが、ミドルセレも全て落ちています(今年のミドルセレでようやく通過相当タイムを出しました)。
当時のKOLCは1つ下だけでもアジアチャンプ、WOC代表×4人(上島、稲森、いつき、村田)、2つ下の桃井も入れるとインカレスプリント優勝×3人という、とても強いクラブで環境には恵まれているはずでした。また、西下という作図オタクや「スプリント大好き同好会」を名乗るやつもいてスプリントが面白い競技であると知る由はたくさんあったはずなのに何やってたんだろうなーという感じです。当時はインカレスプリントが始まったばかりでスプリントの黎明期という頃ではありましたが、いつかのインカレスプリントでもプランナーが求めていた「スプリントへの愛」があまりにも足りなかったです。
<転機>
社会人になってもスプリントへの興味はあまり変わらないまま過ぎていきましたが、昨年転機が訪れました。とても複雑ですがまとめると以下になります。
①基盤地図をOcadに取り込むことすらできなかった自分が地図調査をして作図をするようになった。
②①の結果、マッパーが「地図表現で言いたいこと」が分かるようになった。特に野沢温泉スプリントは体感ではミスなしで、人生ベストレースを更新して自信がついた。
③テレワークにより通勤時間が消滅したことで走るのに充てられる時間が増えた。体重が減少して、より走れる感覚になった。
④スプリントって(加齢に伴う身体の衰えを考慮するとフォレストよりも)勝負できるのは若いうちだよなーという思考に至った*1。(何でこんなこと考えたのか分からないけど。)
⑤オリエンテーリングの要素の中で正しいルートチョイスを素早く考える部分はすごい好きで、それと走力でならそれなりに戦えると思った。
その後決定的だったことがさらに2つありました。
1つは上記の状態の中でインカレスプリント実行委員長を引き受けたことです。詳細は昨年書いた(ttps://good-outdoor.hatenablog.com/entry/2021/12/07/190743)ので省きますが、この一連の運営の中でもスプリントの競技規則、コース組み、地図表現などの知識を大幅に増やすことができました。あのコースを走れる大学生羨ましすぎる!と思ったものです。
もう1つは自分の走力がまだまだだなと思わされたことです。横浜市金沢区に住んでいる自分は八景の横浜市大生と走ることが時々ありましたが、男子5人で野島公園3周(3.6km)走って4番手ということがよくありました。150km/月くらい走る月もありながら走り負けるのはちょっと悔しくて、走力UPの方法を模索し始めました。
この辺りから気づいたらスプリントにたくさんエントリーしてハマっていきました。
<スプリントへの取り組み>
①走力UP
それまで自主トレは適当に走ることしかやっていなかったのですが、検索したら出てきた「ダニエルズ理論*2」というのを取り入れてトレーニングすることにしました。
トレーニング内容を簡単に書くと、自分のvo2maxに合わせてポイント練を週に1-2回、残りをジョグでつなぐ感じです。ポイント練は主にペース走とインターバルをやっています。それから終わりにちゃんと流し(WS)をするようになりました。
おかげで5000mは18分を切れるように、1500mも高校以来のベスト5:08だったのが4:52まで縮まりました。嬉しかったと同時に大学生の間、自分がいかに効率的なトレを考えて実行していなかったか痛感しました。
②近くのマップを作ってみんなでスプリントした
住んでいるエリア(金沢文庫・八景市街地エリア)の作図を昨年12月から今年3月に行いました。3月にお披露目したのですが、これをそのまま保有しておくだけでは勿体ないということで文庫・八景のメンバーとスプリントシーズンは週に一度ほど朝スプリントをするようになりました。通称「文庫スプリント」です。
このテレインの構造はそこまで難しくないですが簡単でもなく道は細いです。行く方向をよく間違える魔の6叉路(勝手に呼んでる)があります。5-6月の全日本・スプセレ前期間はプランナーを毎回変えながらやっていました。このテレインの地図を作るにあたっては、半分は学生の時からの文庫・八景への感謝の気持ちで作りましたが、半分は自分が速くなるために作りました。やはり自宅から徒歩圏内にスプリントテレインがあるのは強いです。何よりも毎週読図走をすると地図を読むのに慣れてきます。
ちなみにスプリントシーズン外は六国峠というトレランコース(6kmちょい)を何人かで朝走っていました。トレーニング環境に本当に恵まれている場所ですね。(ところで東北大の一部の人は9km/UP300mのトレイルを朝やっていて、それはゴリラになるわなと思った)
その他、葉山や横須賀(後述)でも作図を行い、スプリントをやりました。
③トキワシティ(ASAREN)
先日、KOLC後輩の桑原さんが表のadvent calendarにあげてくれた記事(https://note.com/green_tea_115/n/nf40e86b56a04)のやつです。横国キャンパスでやる日を中心に何回かお邪魔させてもらいました。横国の良いところは先読みするのが難しくて、常にナビゲーション負荷がかかるところにあります。コンピを組むと特に難しく、当時1女だった平澤さんにASARENで1度敗北することもありましたが、だいぶまともに回れるようになりました。ASARENは7時半からなので私の場合は6時半に家を出ないと間に合わなかったのですが、それだけの価値はあったと思います。余談ですが、横国生がスプリント強いのはASARENが絶対関係していると思っています。
<結果>
自分のターゲット大会はもちろん全日本スプリントでした。対策はたくさんして臨んだものの、結果は残念ながら予選でボーダー落ちとなりました。しかし、決勝併設では決勝の18位相当のタイムを出すことができました。全体で巡行110、ミス率3.6(ミス率低い方から5番目)というのは前年はE権獲得すら怪しかったことを考えると、やってきたことの効果が少しは発揮できたかなと思えました。
その他、関東スプセレが(なぜか1本目で選考クラスを走れず2本目ではありながらも)全体3位相当タイムだったのも結構嬉しかったです。
この1年はたくさん競えたり一緒にトレをした選手がいて刺激になりました。感謝しています。また、頑張っている選手がスプリントセレに通過したり、インカレや全日本で活躍したりしたときの喜びが上がりました。
ちなみに今年は週5テレワークでしたが、来年から週5出社になります。やりたい仕事に希望を出しての異動ですが、トレは踏ん張りどころです。
面白そうな市街地を探す方法
面白い市街地スプリントは2種類あると思っています。
1つは立体交差を多用するもので「川崎駅」や「天王洲アイル」なんかがその例でしょう。
もう1つは入り組んだ道のある市街地を使うタイプです。
前者も面白いのですが、私は後者が好きです。何といっても、細い道、路地には魅力があります。大抵の場合、古い建物を伴って風情があり、どこか生活感のある道がどこへどんな風に続くのだろうと思うとワクワクします。私はこういうところを散歩するのが大好きです。(なのでスプリントの作図をするのは私にとっては意外と比重が低いのですが、隅から隅まで見れるので発見があります!)
こうした細くて入り組んだ道のあるテレインをよく探しています。
基本的には地理院地図を左下のゲージを300mにして探しています。延々と見てられます。関東に限らず、全国津々浦々本当に長い間見てしまいます。それだけです、というと全く面白くないのでもう少し書きます。
個人的にスプリントで面白い市街地とは以下のようなところだと思っています。
- 碁盤目状になっていない
ただ直角に交差する道路だとナビゲーションは簡単です。 - 区画が広くない
区画が広いと先読みが簡単にできてしまいます。
日本で碁盤目状の都市の代表例といえば札幌でしょう。計画されてできた街です。北海道の都市はだいたいこんな感じ。札幌で面白い市街地スプリントするのはなかなか難易度高そうです。
- 道が細い
見過ごしてしまうような細い道があるとナビゲーション負荷が上がります
地理院地図だと左下が100mとか300mのゲージのときに黒く見えるのが細い道です。
以下はあるとベターかなと
- ところどころに公園が混ざってたりする(道でないルートチョイスが存在し、コントロール置ける場所も多い)
- 複雑な構造の建造物がある
さて、どういう条件だとこのような市街地になるのでしょうか。個人的に意識しているポイントがいくつかあります。急に都市計画の話が出てきますが…笑。
①昔からの市街地か
昔の道は車が通ることを前提としていないため、道幅が狭い道路がたくさんあります。(国産車ができたのは1904年だそうです。)
さて、建築基準法という法律があり、これによって建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接してないといけないと決められています。狭いと緊急車両が入れないことや日照が悪いことなどが問題となるようです。これが定められたのが1950年です。ですが、それ以前からあった道に関しては、建物を新しく建て直したりしない限り、対象外となっています。
新興住宅地はたいてい整然とした区画になります。
②戦争で空襲の被害を受けているか
上に関連しますが、空襲の被害を受けていない都市は昔からの街並み(細い路地)が残りやすいです。焼けた都市は区画整理がされたり、新しい高層建築が立ちやすかったりします。
東京の場合、空襲で焼失したかどうかを示すマップは以下から閲覧できます。おそらく初めて見ると衝撃を受けるのでリンクにしておきます。(1945年3月の大空襲が有名ですが、同年5月にも山の手空襲という大規模な空襲があり、新宿や渋谷といった東京の西側が広く被害を受けました)
拡大画像|戰災燒失區域表示帝都近傍圖 (nichibun.ac.jp)
これの良いところは被災しなかった地域も見れることです。本郷の北側にあたる谷根千、スカイツリーも近い京島などは細い路地で有名ですが、これらも空襲から逃れた地域です。
③平地かどうか
全く高低差のないところに道を引こうとすると基本的にはまっすぐ道を引きますよね。
一方で高低差が少しでもあればコンタっぽい道や尾根を行く道なんかが生まれます。つまり必ずしもまっすぐな道ではないということです。この点から少し高低差がある方が道が直線でなくなり面白くなるのではないかと思っています。これは根拠となる資料が見つからなかったので推測です。
いざスプリントをやるには、どれだけ良さそうでも信号ばっかりあるところでは危険ですし、信号がなくても車通りが多いと厳しいです。この辺はgoogle mapや現地視察で確認します。また、細い道でスプリントやるときには危険個所や通行人への配慮といったことに関して参加者への周知が必要です。
面白そうと思って自分が実際に作図した場所を載せてみます。
(幸いなことに三浦半島は面白い市街地が結構あって、A4で8枚くらい書きました。)
その他、家が近くだったら書いてみたいなーと思う場所
瀬戸内海の島と広島・岡山あたりの海沿いの町、地図で見ただけですが面白そうなところ多いです。
最後に年末の横須賀の範囲の一部です。路地が好きな人にはたまらないと思います。
同じ横須賀では衣笠駅周辺も描いている途中です。
まとまらない文章でしたが、スプリントと路地の魅力が伝わってたら幸いです。
長い記事に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
*1:一般的に短距離の方が長距離よりもピーク年齢が低いです。マラソン2時間切りのキプチョゲ選手は現在38歳
*2:適当な記事を張っておきます。 ダニエルズ式トレーニングとは~概要~|2B Runner (2b-runner.com)